[携帯モード] [URL送信]
決意表明!!
└(ゲマシャフ/ラーブラ)

 ―――長い付き合いのうちに、気付いた事がある。…と言っても、再会してからそんなに時間が経っている訳じゃないが。

 例えば、馬鹿みたいに人が良い所とか、必要以上に生真面目な所とか、そのせいで余計な苦労を背負い込んでいる所とか(まあ、そのおかげで一緒に居られるんだけど)、その他にも色々。

 そんなアイツを見ていると、やっぱり変わんないなぁという思いと、変わらない事に対する安堵の気持ちがある事に気付く。…まあそんなもんは前々から気付いてたから良いんだけど。

 そうじゃなくて、本当に最近、気付いた事。

 ―――それは、どうやらオレは、そのお人好しで生真面目なそいつのことを好きらしい、と言うことだ。

      ***

 最初に大切だと思い始めたのが何時だったのか、とかそれが好きという感情に発展したのがいつ頃からか、とかそんなことはもう覚えてないけれど。
 それでも、アイツを好きだと言うことに変わりはない訳で。その事実の前には、アイツが男だということも、同じくオレも男だということも、別に大した問題じゃない。
 むしろ、問題が多い方が燃えるってもんだ!

 勿論、アイツを誰かに(それが女であろうと)渡すつもりは無いし、アイツの目をオレ以外の誰かに向けるつもりも無い。
 オレは心が狭いんだ。
 ま、まずはその手の事にひたすら鈍いアイツに気付かせることが先決だけどな。

 ―――問題はそこなんだよな………。

 アイツは本当に真面目だから、自分が嫌悪の対象である獣人だからその手の感情が自身に向けられるとは欠片も思っちゃいないだろう。
 しかも、オレが男なのも鈍さに拍車をかけている原因の一つだろう。
 男同士だって有りだろうが、なあ?

 それに、あの双子のこともある。
 あいつら、事ある毎にちょっかいかけようとするからな〜…。
 特に、ファスナーの方!あンの野郎、オレの可憐な彼女である翠子さん(注:猫)をそそのかすだけでは飽きたらず、アイツにまで手を出そうとするとは…。
 いかにも『お前のためだ』みたいなこと言いやがって腹の立つ…!
 お前もそんなんにほだされてんじゃねえよ!まったく……。
 狙われてんの、気付いてんのか!?―――んな訳ねえよな、当然………。
 ま、それはそうとして、当面はどうしようかね。
 ここはやっぱり、地道にやっていくしかないのかね〜…。

      ***

 「―――という訳で、地道にやってく事にしました」

「……いきなりなんなんだ、一体」

 心底不思議そうな目をして、アイツ―――ブラッドが言う。
 不思議…というよりは、むしろ微妙に心配してる?いや、憐れむような目つきでこっちを見てる。……随分と失礼な奴だな。

「……ラース、お前色々と大丈夫か?」

 なにその言い種。余計なお世話だっつーの!
 まあオレの名前を呼んだから良しとしよう。ブラッドに名前呼ばれるの、好きだからな。

 「なんでもねーよ、ちょっとした決意表明だ」

「決意表明ねぇ…。なにを企んでるか知らんが、ほどほどにしとけよ」

 「企んでるって…ちょ、それヒドくない?オレがいつ何を企んだってのさ!」

「いつもいつも何かを企んでる癖して何を言うか」

 …これだもんな〜。まったくオレのこと何だと思ってんのさ、ぶちぶち。

 「なんだよ〜、オレってそんなに企んでるように見える?」

「勿論」

 「うわ即答!?」

「当たり前だこの馬鹿が!実際お前が何も企まずに日々を過ごすなどまずあり得んわ!」

 「酷っ!!」

「事実だ」

 「お前はオレの事そんな風に思ってたのか!?お前はそんなやつだったのか!?」

「………」

 「あぁなんと言うことだ!ブラッドがこんなに人を疑うだなんて!オレは悲しい…。あんなに付き合いの長いこのオレの事までも信じられなくなるとは……っ!」

「やかましいわ!大体、付き合いが長いからこそだ!今までにだって散々アレやらコレやら色々としでかしてきてるだろうが。―――まさか忘れたとは言わんだろうな?」

 「なにを言う!オレはいつでも未来を見据えている!」

「お・ぼ・え・て・い・る・な?」

 「……………………はい」

「よろしい。俺は今までの経験からお前が何かを企んでいると思ったんだ。それは自業自得というものだろう」

 「でも今回は違うぞ!」

「そうか」

 「それだけ!?」

「他に何か?」

 「もうちょっとなんかこう、言うこと無いワケ?せっかく決意表明したんだからさー」

「…なんの決意表明だ?」

 「これからの行動についての」

「………出来る限り大人しくしててくれ」

 「イヤそうじゃなくて…。まあいいや、鈍いのは知ってるし」

「…?なんの話だ?」

 「こっちの話!」

 そうさ、地道にやっていくって決めたんだ。相手が鈍かろうが構うもんか。
 待ってろよブラッド。オレは諦めるつもりは無いからな!覚悟しとけ!!


 ―――気付いたからには、もう忘れることは出来ない。
 なら、相手が気付くまで突っ走るのみ。これぞ恋愛の醍醐味!


「………何事も、ほどほどにな」

□□□□□□□□□□□□□□

・またマイナーですが………。
・ゲ/マ/イ/ン/シャ/フ/トという漫画の龍波イチオシのカプです。


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!