惹かれずにはいられない
└(喪神の碑/マリリアード)
―――なんて美しい人なのだろう。
彼女を見て最初に思ったのがそれだった。
幼い頃は異端の黒髪というだけで姉たちに疎まれ(母はほとんど目をくれる事はなかった)、その後、成長しきるまでの間は、………。
自分以外に生命あるものなど何一つとして存在しない世界で、10年以上も生きてきた。
たった一人で、幾つもの幾つもの死体を埋め、墓標を立て、祈る。
そんな日々を繰り返す、途方もない孤独の中で想像していた、ラフェール人ではない普通の人。それはどのような人達だろう。
『シタン病』。それがラフェール星を襲った悲劇の始まりだった。
生きながら全身が炭化していくこの病が猛威を振るい、それが他惑星にまで及ぶのを恐れた連邦政府によって、ラフェール星は惑星共々、全ての命あるものが死に絶えた。
だから、夢にまで見た外の世界、そこで生きている人達はどれだけ暖かいだろうと思っていた。
―――そして出会った彼女は。
よく笑い、怒ったかと思えばすぐに機嫌を直し、他人のことで泣いて。
その燃えるような赤毛とあいまって、とても美しいと…鮮やかに『生きている』と思える様な人だった。
………嬉しかった。
何も知らない私を、何の関わりもない、赤の他人である私を、本当に他意無く助けてくれた。
出逢えて良かった、と、心から思った。世界は美しいのだと。
―――例え、敵対することになっているとしても後悔する事など無い。
ソランシア・ミナ。
それが彼女の、私がたった一人愛した女性の名前。
【美しいもの】
(例えあなたがどんなに遠く離れた場所にいたとしても、今でも)
□□□□□□□□□□□□□□
・来ましたどマイナー作品。知っている人いるのか……
・津/守/時/生の喪/神/の/碑という小説からマリリアード視点の独白。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!