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11周年記念物語「人魚姫の想い歌」
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 「……」

トラネコさんはぼうっとした顔でわたしを見ていた。

なぜか、顔が赤い。

 「トラネコさん?」

呼んでみたが、返事はない。

 「あの、変でしょうか?」

こんなことが出来るようになっても、オシャレになったというわけではないし、やっぱり、わたしなんかが……

 「そ、そんなことない! とっても可愛い!」

その言葉を聞いて、わたしはすごく驚いた。

 「……本当に?」

トラネコさんにそんなことを言ってもらえるなんて、信じられなくて、思わず聞いてしまった。

 「本当だ」

 「本当の本当に?」

 「だーかーら、本っ当に可愛い! すっごく可愛い! とっ――――――ても可愛いって言ってるだろ!」

嬉しかった。

好きな人から可愛いと言ってもらえた、その一言がこんなにも幸せなことなのか。

嬉しくて、幸せで……涙が流れた。

この前は悲しみの涙だったけど、今度の涙は嬉しい涙だった。

 「な、泣くことないだろ」

 「だって、トラネコさんにいっぱい可愛いってもらえて、すごく嬉しかったから」

 「そ、そうか……」

トラネコさんが顔をそむける。

すぐにわたしのほうを振り向いてくれたけど、顔がさらに赤くなっていた。

 「……えっと……その……レンに……もうひとつ、言いたいことがあるんだ」

 「もうひとつ、ですか?」

 「あ、ああ。と、とても重要というか……どうしても言いたいというか……」

トラネコさんの声がとても緊張している。しっぽもぴんっと伸びている。

こんなに緊張して言いたいことって、何だろう。

 「……」

けど、トラネコさんは黙ってしまった。

 「トラネコさん?」

じっと見つめると、トラネコさんの顔がどんどん赤くなっていく。

体が精霊化して、やっぱりどこか具合が悪くなってしまったのだろうか。

心配になって声をかけようとしたら、トラネコさんが先に口を開いた。

 「レ、レン」

緊張した声で呼ばれて、トラネコさんに見つめられる。

真っすぐ見つめられて、ドキン、ドキンと胸の鼓動が早くなる。

 「レ、レン」

 「は、はい」

 「レン……そ、その……ボ、ボクはレンのこと……」

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あきゅろす。
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