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11周年記念物語「人魚姫の想い歌」
sideトラネコ 姫の危機にネコ(王子)、目覚める
 「レンちゃん!」

レンを追って、クウが店を出ていく。そのあとにナルとカリナとアルトも続いた。

視線が突き刺さる。見回すとみんな、怒った顔でボクを見ていた。

 「何で、あんなことを言ったんだ?」

コウキが質問を投げかけきた。

 「……」

答えたくなかった。

あの服を着たレンは可愛かった。それは誰よりもボクがそう思っている。

元々、レンはすごく可愛い。だけどそれ以上、可愛くなったら、アルトの言う通り、他の男が放っておかなくて、レンに迫るかもしれない。

もしかしたら、ブータが言ったようなことにもなるかもしれない。

そんなことになるくらいなら、レンにこれ以上、可愛くなってほしくなかった。

そう思ったら止まらなくて、だから、あんなことを言ってしまった。

出て行ったレンの泣き顔を思い出すと、レンを悲しませてしまった後悔で胸が苦しくしめつけられる。

 「トラネコ、お前な……」

 「大丈夫ですよ。コウキ」

ぽんとフィルがコウキの肩に手を置く。

みんなが怒っている中、フィルだけはにっこり笑顔で、それが返って不気味で怖い。

 「僕たちが手を下さなくても、このおバカさんに制裁を下してくださる方がいらっしゃいますよ」

それは誰か、聞かなくてもわかった。

後ろから、ものすごい殺気を感じた。振り向いたら、最期……だけど、振り向かずにはいかなくて、ゆっくりと後ろを向いた。

そこには予想通り、ものすごく怒っている空の海の魔女がいた。

 「……このバカネコがっ!!」

空の海の魔女はお店の中に響き渡る声で怒鳴り、どんっと杖で床を叩く。

大きな雷を落とされたような衝撃が走り、身をすくめる。

あまりの恐ろしい迫力にコウキたちは後ずさった。

ネコ耳としっぽを生やしている人間のティンにいたってはネコ耳をふさぎ、しっぽを丸めてその場にしゃがみこんだ。

 「バカだとは思っていたけど、ここまで大バカだったとはねえ。ネコ以外のものに変えるんじゃあ、そのバカは治りそうもないみたいだし、ザキか、ザラキか、ザラキーマの呪文をかけてやろうか」

空の海の魔女は杖をくるりと回して、狙いをボクに定める。

 「酷すぎるわ、リーちゃん。そんな呪文をかけるなら、せめて……自分でメガンテを唱えさせてあげて」

と、真剣な表情でショーコさん。

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あきゅろす。
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