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 やばい、本格的に意味が分からなくなってきた。

 毎朝やっていた? 何を? 拳銃を渡されて、何をやっていたというのか。


「翼くん?」

「えっ、あ、何?」


 校長が式台から降り、整列していた人々がぞろぞろとはけはじめていた。その中で、俺に一人の男子生徒が話かけてきた。

 慌てて返事をすると、相手は驚いた顔をしたが、次の瞬間にはやわらかく微笑んだ。


「おはよ。今日もよろしくね」

「あ、あぁ、よろしく……」


 訳も分からぬまま挨拶を返すと、男子生徒はまた笑った。

 茶色いふわふわの髪に白い肌。ぱっと見女子のようなやわらかさを持ち合わせている。だが、頬にある黒い傷のようなものが、どこか不思議な印象も持たせる。

 と、ここまで観察して気付く。


「あんた、誰?」


 知り合いにこんな奴いただろうか。だがあっちは俺のことを知っているらしい。しかも「今日もよろしく」と来たもんだ。何かで世話になったのだろうか。

 俺が言うと、相手は一瞬きょとんとしたが、すぐに声を出して笑った。


「びっくりしたー! 翼くん、冗談きついよ」


 きついと言いながら、男子生徒は明るく笑った。

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