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一体何が始まるんだろう。
校庭に集まっている人は、一様に式台に向かって立っている。
ジャージであることを除けば、集会のように見えるが、毎朝そんなことをしていた覚えがない。
田中や赤坂に聞いてもいいのだが、さっきのような反応をされると傷つくのでやめておこう。
いずれにせよ、もうすぐ始まるのだ。わざわざ二人の手を患わせることもない。
そんな風に思っていると、列の前の方から何かが配られてきた。
小さな、けれどずっしりと重い。黒く光るその物体は、
「……じ、銃?」
映画やテレビで見るような拳銃だった。
なんでこんなものが学校で配られるんだ。というか本物? どうなってるんだ、一体。
自分の手の中にあるものが信じられなくて混乱していると、拡声器を通した声が校庭に響いた。
式台を見ると、校長が立っていた。
「皆さん、おはようございます。今日も清々しい朝ですね。訓練をはじめましょう」
ますます意味が分からない。
訓練? 何の? というか、こんな物騒なもの持たされたら清々しい気持ちもぶっ飛ぶだろう。
式台の上でのうのうと喋る校長に心の中で説明を求めたが、いつも通り九時からはじめます、と言って引っ込んでしまった。
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