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軽い鞄を持って家を出る。戸締まりを忘れずに。
親は、いるけどいない。仕事だなんだで忙しいらしく、俺の面倒なんか見てくれない。
大体、俺ももう高校生だ。なんでもかんでも親に依存するほどガキじゃない。
外は相変わらずの曇天だった。
雨は降るだろうか。天気予報を見ておけばよかったと後悔した。
歩き慣れた高校への道を歩く。
しかし、今日はいつになく静かだ。いつもなら耳障りな小学生の声もしない。いてもおかしくない時間なのに。
「開校記念日、とか?」
高校はあるのに小学校がない理由を考えてみる。これだけ誰もいないとなると、休みなのかもしれない。
学区は自分と同じなのだから経験しているはずなのだが、思い出せなかった。
小学生の頃は、休みが一日増えた、と喜んでいただけだったから、所詮そんなものなのかもしれない。
だが、近所の小学校が休みだろうと高校生の自分には関係がない。
俺には変わらず、つまらない授業が待ち構えているのだ。
俺はため息をつきながら学校に向かった。
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