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「仮に私にそっちの気があったとしても、あんたなんか相手にしないわよー」
わしゃわしゃわしゃわしゃ、まるで犬の頭を撫でるような手つきに、気付けば真紀の頭はぐしゃぐしゃになってしまっていた。
「じゃ、じゃあ付き合うって何?」
佳奈の手を振り払って髪型を直しながら聞くと、佳奈はいつもの小悪魔スマイルになる。
「駅前に新しい喫茶店ができたって聞いたから一緒に行こうかと思って」
「喫茶店?」
駅前は毎日通っているのに、その話は初耳だった。さすが自分で情報通と言うだけある。
にしても、佳奈が喫茶店に興味を持つとは珍しい。以前、喫茶店で本を読むのが好きだ、と話したときには、そんなのの何が楽しいの、とばっさり切り捨てたのに。
「別にいいけど」
「よし、じゃあ決まりね」
真紀の答えに満足した佳奈が手を打つと、校内にチャイムが鳴り響いた。次の時間に講義があるので本を片付けはじめる。
「次で終わり?」
「うん」
「じゃあ二時にまたここで。言っとくけど、ドタキャンなしだからね」
「分かってる」
やけに念を押す佳奈に少し違和感を覚えつつも、真紀はロビーを後にした。
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