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「本当にそれでいいの?」

「うん! ありがとう、真紀ちゃん」


 出口に向かう道すがら、真紀に買ってもらったものを眺めながら嵐が頷いた。

 その手には、ヒトデの形をしたピンバッジが二つあった。オレンジと黄色の二色。


「筆箱につけるんだー」


 楽しそうに言う嵐に、真紀は喜んでいるならいいか、と思い直した。


「なんか、色々あったけど楽しかったね」


 ふいに光が言う。


「これならいい思い出になるかも」

「だね」


 光と二人で笑っていると嵐が口を挟んでくる。


「え、これでおしまい? もっと色んなとこ行こうぜ? 今度は山とかどう?」

「嵐、現実を見ろ。俺たち受験生なんだぞ? 大体来週からまた課外授業でそんなことしてる暇ないだろ」


 洋一の的確な突っ込みに嵐が口をつぐむ。


「で、でも真紀ちゃんだって行きたいよな!」

「えっ、私?」


 突然ふられて返答に困る。


「遊び行きたくない?」

「行きたくなくはないけど……」

「じゃあ!」

「でもやっぱ受験生だし……」


 一度ぱぁっと華やいだ顔が一気に暗くなった。

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