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 夏、といえば海、ということで海に行こうと嵐が提案したが、日焼けするから嫌だと光が反対した。

 じゃあどこにするのさ、という嵐に、光は不適に笑って答えた。


「水族館行こう!」





 水族館なんて何年ぶりだろう。

 イルカと白くまのイラストが描かれた看板を見上げて真紀は思った。

 真紀たちが住む町から電車に乗ること一時間半。海沿いにある小さな水族館の前に四人は立っていた。


「高校生四枚」

「二千円になります」


 入場券を買ってくれている洋一を横目に、真紀は海を眺めた。

 夏の太陽を反射してキラキラと光る。休日なら親子連れで賑わうが、平日ということもあって静かだった。潮騒の音がわずかに聞こえる。


「ん」

「あ、ありがと」


 洋一に入場券を渡される。イルカのシルエットがプリントされていて可愛い。


「光、入るぞ」


 少し離れた場所で海を見ていた光が、洋一の声に振り返る。


「今行く」


 光る海を背景にした光の笑顔は絵になるな、と真紀はぼんやり思った。

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