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「長谷川は? 大丈夫?」

「え? うん。大丈夫」


 真紀が答えると、洋一はやっと芝生に腰を下ろした。どうやら気を遣ってくれたらしい。


「ありがと」

「別に」


 そういうさりげない優しさが、真紀にとってはこの上なく嬉しい。


「なんかこうしてると遠足みたいだなー」


 買ってきたばかりのコロッケパンを開けながら嵐が言う。


「確かに。いいわねー。ね、今度皆でどっか行こうよ」

「いいな、それ!」

「お前ら、一応受験生なんだからな?」


 盛り上がる嵐と光に洋一が横槍を入れる。すると案の定二人は頬を膨らませた。


「何だよお前、ノリ悪いな」

「そーよそーよ」

「こういうときだけ意気投合すんなよ」

「……ぷっ、あはは!」


 洋一の言うように、二人して洋一にブーイングしているのが面白くて、つい真紀は吹き出してしまった。

 突然笑った真紀に三人は驚いたが、すぐに一緒になって笑った。


「見ろ、お前のせいで真紀ちゃんに笑われちゃったじゃねぇか」

「どちらかと言えばお前のせいだろ?」

「ふっ、どっちもどっちだし……」

「光っ、お前まで」

「ははっ」


 そんな言い合いをする二人も面白くて、真紀は光とお腹を抱えて笑った。

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