・34
天気がいいということもあって、中庭にはいつもより多くの生徒がいた。座る場所を探したが、ベンチは全部埋まってしまっていた。
「しょうがない、芝生にしよっか」
「うん」
光と二人、四人で座れそうな芝生を見つけて腰を下ろす。夏草の匂いに、胸が踊った。
「ん〜気持ちいい〜」
お日様の光りを浴びて気持ちよさそうに背中を伸ばす光は、そのままぱたりと芝生に寝転がった。真紀もその隣で空を見上げる。
穏やかな時間。学校にいるなんてことも忘れてしまいそうだ。
「あ、いたいた」
少しすると、中庭にやってきた嵐と洋一が二人を見つけて近づいてきた。
「光、お前一応女なんだから少しは恥じらいを持てよ」
「一応って何よ、一応って」
芝生に大の字になって寝転がっていたことを言ったのだろう、嵐は顔をしかめながら真紀の隣に座った。
光は居住まいを正して膝に弁当を乗せた。
「ベンチ、さっき見たら一つ空いてたけど、いいの?」
一人立っていた洋一が言うと、光が「芝生の方が楽だからいいわよ」と答えた。
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