・33
「よし、じゃ俺ら購買言ってくるから! 先に中庭行ってて」
「うわ、おい、引っ張んなよ」
洋一の手を引いて嵐が教室を出ていく。頭一つ分洋一より小柄なのにも拘らず、嵐はずんずんと進んで洋一を引っ張っていく。洋一の方は転ばないように歩くので必死という感じだ。
ぽかんとしている真紀に、光は弁当片手に微笑みかける。
「全く調子いいわよね」
「はは」
「とりあえず中庭行こっか」
「うん」
光に促されて、鞄から弁当の包みを取り出した。先に歩きだした光の背を追いながら、どことなく違和感を覚える。
「…………」
「……真紀? どうしたの?」
つい立ち止まっていると、光が振り返った。真紀ははっとして首を振った。
「うぅん、なんでもない」
「そ?」
「うん。早く行こ!」
光の笑顔に、何故か動悸が早くなる。何か嫌な予感がしたが、真紀はそれを意図的に振り払うように歩くスピードを上げた。
廊下の窓から見える空は、眩しいほどの快晴だった。
キラキラ、キラキラ。
息が苦しくなるほど。
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