・25
右隣に嵐、左隣に光、一番後ろだから後ろには壁しかなくて、前には洋一。
小学校からの幼なじみ三人組に囲まれた真紀は、自然とこの輪の中に入るようになった。
「真紀ちゃん、さっきの英語のノート貸して?」
「いいけど……なんで?」
「寝てた!」
にかっと笑って答える嵐に、真紀が軽くずっこけた。
クラスが変わって三ヶ月、こんな会話もしょっちゅうで、その度に嵐は光からバッシングを受ける。
「自業自得じゃん。真紀、貸さなくていいよ」
「光……」
光の意見に、真紀が苦笑する。
「何だよ光、邪魔すんな!」
「ノートなら洋一に貸してもらいなさいよ」
「は、俺?」
突然名前を出された洋一が驚いて光を見た。そんな洋一に光は微笑みかけるが、洋一は微妙な顔をした。
「よろしく。ほら、真紀、行こ。早くしないと学食混んじゃう」
「あ、うん……」
光に手を引かれて立ち上がる。
教室を出る途中にちらりと振り返ると、嵐がこちらに手を伸ばしていた。その横には、そんな嵐を横目で見やる洋一の姿。
なんとなく悪い気がしながら、真紀は光について行った。
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