・24
「全くあいつは……」
「知り合い?」
同級生なのだから知り合いなのだろうが、光の言い方にもっと親密なものを感じた真紀は尋ねた。
すると光は苦笑する。
「はは、知り合いっていうか腐れ縁? 幼なじみなんだよね」
「幼なじみ?」
「そ。小学校からずっと一緒なの。私と嵐と、あと一人……」
「おい嵐! 置いてくぞ!」
唐突に声がして心臓が跳ね上がる。低く、通る声。
「あぁ、今行く! んじゃね、真紀ちゃん」
答えた嵐が手を振って去っていく。その先にいる人を、真紀は何故か見ることができなかった。
「あれがもう一人の幼なじみ」
「え?」
「芳賀洋一。真紀ちゃんの前の席だよね?」
「あ、うん……」
ただそれだけのことを言われただけなのに、真紀の頭の中に洋一の笑顔が浮かび上がった。
ふっと笑う、あの笑顔が。
高校三年生。
勉学、部活、恋愛。
大忙しの青い春が、こうして始まった。
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