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・15

 意味が分からず首を傾げると、佳奈は盛大なため息をついた。


「芳賀くんのことに決まってるでしょ?」

「あ……」


 言われて佳奈の目的はそれなのだったと思い出した。
 福島の癒し効果や、ジャズナイトのことに意識を持っていかれていた真紀は、一度しか顔を合わせなかった洋一のことを忘れていた。いや、忘れようとしていた。


「噂通りかっこよかったし。クールなとこもいいじゃない」

「そ、かな?」

「そうよ! ったく真紀も人が悪いわよね。どうしてあんないい人紹介してくれなかったのよ」

「しょうがないじゃない。芳賀くん県外の大学に進学しちゃったし、それに」


 言おうとしたことに、思わず言葉が詰まる。佳奈が疑問を感じる前に、言うことをすり替えた。


「それに、そんなに仲良くなかったし」


 ただのクラスメイト。そのことを強調するように、真紀は言った。

 何もなかったといえば嘘になる。でも特別何があったわけでもない。自分と洋一はクラスメイト。そう言い聞かせるように、真紀は答えた。

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