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それから二ヶ月。
私は変わらず大学に通い、放課後と休みの日にはコンビニでバイトをしている。
変わったことといえば、バイト先に新人が入ったことくらい。“長期休暇”の雅之くんの穴を埋めるために、店長が雇った。
だから必然的にシフトは雅之くんと同じで、今度は私が先輩として新人に仕事を教えることになった。
「中村さん、在庫確認終わりました」
「あ、お疲れ。じゃあ休憩入っていいよ」
「はい。失礼します」
丁寧にお辞儀をして控えに戻っていく新人くんを見送って小さくため息。
今日は夜勤なので店内にはあまりお客さんがいない。外の道路を走る車も疎らだ。
レジカウンターに一人ぽつんと立っていると、やけに店内が広く感じられた。
仕事は、まぁまぁうまくやれている。新人の子は少しおっちょこちょいで、入ったばかりの頃の私を思い出させる。
でも物覚えがよくて、そんなとこは雅之くんに似てるなぁなんて思ってしまう。唯一の救いは、彼が私と同い年だという点だろうか。
雅之くんに抱いていたような劣等感を抱かずに済む。
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