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「そうなんだ? あ、日直? お疲れ」


 机の上に置いてあった日誌を見て言う。特に反応も示さないでいると、手に取って眺めはじめた。


「ちょっと」

「へーアユカちゃんて可愛い字書くんだね」

「……返してください」


 手を出して言うと、雪都はその手を握った。


「……は?」


 あまりに突然のことに目を点にしていると、またいつもの笑顔。


「俺も一緒に職員室行ってあげる」


 なんだそれは。

 言おうと思ったが、あまりに意味が分からなすぎて声も出なかった。





 雪都の手を振り払い、手をつなぐことからは逃れられたが、結局一緒に職員室に行くことになってしまった。

 それというのも、雪都が日誌を返してくれないからで。歩香は仕方なく雪都のあとについてきた。

 大体、昨日あんなことがあったのに、どうしてこうもいつも通りなのかが気になる。それとも、あの程度の拒絶は雪都には関係ないのだろうか。

 考えていると、またあの傘が舞うシーンがちらついた。

 だめだ。考えるのやめよ。歩香はため息をついた。

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