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紺によく映える、黄色の花。花の種類なんてよく分からないからなんとも言えないけど、遥の明るさによく合っていると思った。
「……似合いますか?」
「え?」
頭の中を見透かされたような言葉に、一瞬たじろぐ。だが遥は単なる疑問を口にしただけらしい。僕を見上げたまま、カラコロと下駄を鳴らす。
「……似合ってるよ」
「ほんとですか?」
「うん。可愛い」
言ってしまってから、自分の頬が熱くなるのを感じた。
今まで、遥のことを可愛いと思っても口に出したことなんてなかった。そんなことを言ったら軽い男だと思われそうだったし、何よりそう言うことが恥ずかしかった。
勝手に赤くなっている僕は、横を歩く遥も同じように赤くなっていることに気付くはずがなかった。
それからは会話という会話もないまま。ゆっくり歩くことでぎこちなさもあって、公園までの道がやけに長く感じられた。
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