7 「雅之くんは何専攻でいくの?」 バイト前の勉強が日課になったある日、私は尋ねた。 今は雅之くんが数学を、私も便乗して英語の課題をやっているところ。 「一応、理系ですけど」 「あーやっぱり」 手を止めずに答える雅之くんに思わず納得してしまう。 「国語やってるときより数学やってる方が生き生きしてるもんね」 「そうですか?」 「うん。すごいなー。私数学とか理科とか全然できないし」 「俺も国語全然できないし、お互い様ですよ」 「そんなもんかしらねー」 英単語を電子辞書で引きながら呟く。 確かに得手不得手は誰にでもある。だけど、なんでもできるに越したことはないと思う。 現に雅之くんはめきめきと文系の力も伸ばしてるし、結局大学に入ってから理系との関わりを断った私としてはちょっぴり羨ましいものがある。 「あー私も数学できる人になりたい!」 「……どうしたんですか? 急に」 辞書から顔を上げて言うと、雅之くんは目を丸くしてこちらを見てきた。 [*back][next#] |