15
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悪いことをしたかもしれない。
ベンチに腰掛ける先輩を見て思った。いくら私でも、先輩が傷ついていることくらい分かる。
頑張ってる先輩を助けたくて、結果的に先輩のプライドを傷つけてしまった。先輩に取れなかったものが、後輩の私に取れてしまったのだから無理もない。
どうして私はこうも空気が読めないんだろう。いつもやってからしまったと思う。
今日だって、浴衣でなんか、下駄でなんか来るんじゃなかった。
せっかくのお祭りなのに思うように動けないし、さっきから先輩の足を引っ張ってばかりだ。いつもは歩くのが速い楓先輩が、浴衣で下駄の私に歩くスピードを合わせてくれてる。
空気が読めないくせに、足手まとい。ただのお荷物じゃないか。
せめてもの恩返しがしたい、とたこ焼きを奢らせてもらおうと思ったのに、逆に奢ってもらっているし。
「はぁ……」
「遥? 疲れたか?」
自分のダメさ加減に落ち込んでいたら、今度は心配をかけてしまう始末。
本当に嫌になる。
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