13
「おじさん、一回」
そう思ったらもう動いていた。
遥が目を丸くする横で、銃と一回分の弾を受け取る。コルクでできた弾丸を銃に詰めながら、どれがいい? と遥に尋ねる。
「え、あ、あの、ウサギのぬいぐるみ……」
指差された方を見ると、白くて丸いウサギのぬいぐるみが棚に腰かけていた。
「あれな」
「え、あの、先輩?」
反射的に答えてしまったのだろう。遥はうろたえた様子で、銃を構える僕を見ている。
「いいんだよ、俺がそうしたいんだから」
申し訳なさそうな顔をする遥に笑いかけて、僕はウサギに意識を集中させる。
少し重そうだけど、三発もあれば倒せるだろう。
僕は引き金を引いた。
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