嫌われ少女は未来を望む No..75 懐かしい…昔来たのままだ。【あの頃】に比べて私はちゃんと笑えているかしら…? あの頃は全然、いえ…殆ど笑えてなかったものね…。 「あの、黒羽殿…」 『ん?何?』 ちょっと考え事してたから、驚いちゃった。バジル君が今何を訊きたいのか、分かる。 多分、目の事だろう。 そりゃそうよね…眼帯してたら流石にバレちゃうわよね。 「其の左目…」 『あはは…ちょっとね』 「黒羽殿…」 『そんなに辛そうな顔しないで?』 あの頃からバジル君の優しいのは変わらないな… でも、其れがバジル君の良い所なのよね♪ ****** 「着きました」 『此処は?』 「九代目の部屋です」 『此処が…』 あの人私の事覚えてるかしら?もう随分前に会って以来だから、もう何年も此処──ボンゴレ邸に来てないもの。 中間報告しに来ただけなんだけど、バジル君にも会えたし、あの人にも会えるし、楽しみ♪ コンコン 「バジルです」 「入りなさい」 「はい、失礼します」 『……。(失礼しまーす)』 ガチャリ、ゆっくりとドアを開き一歩踏み出すバジル君とその後に続く私。 きっと驚くでしょうね、あの人。 「お久しぶりです、九代目」 「久しぶりだね。ん?その後ろの子は…」 『お久しぶりです、九代目。私の事、覚えてますか?』 「もしかして……黒羽ちゃんかい?」 『はい。私です』 九代目、覚えていてくれたのね…嬉しいな。 …とは言っても、ボンゴレ十代目の護衛兼あのファミリーの情報を集める任務を依頼した人ですものね。 覚えていて当たり前ね。(何気に酷い) 「本当に久しぶりだね」 『ええ、そうですね(ニコッ』 チュッ(手の甲に) 『九代目こそ、お元気そうで何よりです』 「黒羽ちゃんの方は大変そうだね」 『!クスッ、貴方にはバレバレみたいですね(ニコッ』 九代目には、やはり嘘はつけないわね。この人には沢山お世話になったんだもの。 全て話さなくてはいけないみたいね。 「黒羽ちゃんが此処に居るという事は…」 『ええ、中間報告をしようと思いまして(ニコッ』 「わざわざその為にイタリア迄?」 『ええ。メールで送ろうと思えば、送れたのだけど、ちょっと忙しくて…』 「其の左目と関係がありそうだね」 『…はい』 さてと、早く報告しなくてはね。私は遊びに来たわけじゃないんだもの。 ←→ [戻る] |