キセキの秋桜
14
(なんで居るの? 心配そうな顔なんてしてさ……本当はそんな事思ってないくせに)
「何で居るの」
「教室に来ないから心配したんだ」
「僕も心配になって……」
「空ちゃん、ヒデー怪我だったぜ? 誰にやられた?」
綱吉と炎真の予感は当たってしまっていた。光の無い瞳、無表情な顔、冷めた言葉、それに……閉ざされた心。
綱吉達は今この瞬間を悔やんだ。何故こんな事になってしまったのか、こんな事になったのか、綱吉達は双子の妹(友人)をここまで変えてしまった事に苛立ちと悔しさと悲しみが入り混じった感情に戸惑う。
「アンタ達に関係無い」
「関係無い事ないだろ」
「関係無い」
「空、オレ……助けたいんだ」
「煩い」
「僕も助けてあげたいんだ、君の事……」
「煩い、関係無い」
関係無い、煩い、という言葉をただひたすら繰り返す空にシャマルも綱吉も炎真も同じ事を感じていた。明らかに「心を閉ざしている」と。
だが、それでも味方でいたい、助けてやりたいと思った。何が何でも救ってやりたい、元の日常に戻してやりたいと。
ただ一つ問題なのは、如何すればイジメを止められるかだった。自分達には、如何しようも出来ないから。
「ねぇ、空」
スゥ
「!」
パシッ
「あっ……」
「触んじゃねぇよ」
「空ちゃん……」
「重症だな……」
手を勢いよく弾かれた綱吉は、如何しようもない感情になった。仕方ないと思う反面、ショックが大きかった。
妹の変化に気付いてやれなかった事、朝元気がなかった事を知っていて、もっと話し掛けてあげればよかったと思えば思う程、兄失格だと思ってしまった。家族なのに、出来る事は沢山あった筈なのに……と。
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