キセキの秋桜 15 「取り敢えず帰れ」 「うん」 「……。」 綱吉と炎真がずっと此処に居られたのは、放課後だったからだ。放課後になり、直ぐ様自分の分のスクールバックと空の分のスクールバックを持ち慌てて教室を飛び出して来たのだ。 クラスメイト達には、哀れみの目とバカみたい……という目で見られているだけで、イジメを受けている訳ではなかったのが不幸中の幸いだった。 「オレ達帰るよ」 「先生、空ちゃんを手当てしてくれて有り難う」 「……。」 「女の子の味方だからな」 「本当に有り難う、シャマル」 「男はさっさと帰れ」 渇いた笑いを零しながら保健室を後にする三人を尻目に、シャマルは突然独り言の様に言葉を発した。 「ずっと見てたのか?」 「見てたぞ」 「相変わらず悪趣味な奴だな」 「空の奴、大丈夫なのか?」 「ああ。殆ど打撲痕だった。心≠ヘ閉ざしてるみてーだがな」 「そうか……」 現れたのは、蜘蛛のコスプレをしたリボーンだった。会話からして、リボーンは一部始終見ていたらしい。 長年付き合って来たシャマルも流石に呆れかえりつつあるも、コイツ(リボーン)らしいと思った。 「お前は信じてやれよ」 「当たり前だ」 「そうかい、そうかい」 「お前も信じてやってくれ」 「フッ、俺は女の子の味方だぜ?」 「そうだったな」 暫く会話を繰り返すと、リボーンは自分の都合で帰って行った。シャマルもまた、帰って行った。 [*前へ][次へ#] |