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 待て、何か話が可笑しな方に転がってる気がする。
「成る程。お友達って、柳の中でそう言う関係だったんだー」
 セフレの事じゃねーよ! 馬鹿なこと言うな、周りに誤解されるだろーが!
「良かったねぇ、白河くん」
「――はっ?」
 木瀬が、俺の後ろに向かってニコニコと笑っている。白河とか言わなかったかコイツ。幻聴であってほしい。
 怖くて振り向けずにいたら、相手の方から近付いてきた。
「お、俺……光栄ですっ、柳先輩っ」
「なんで居るんだよお前!」
 何故か弁当を持った白河が、顔を真っ赤にしていつの間にかそこに立っていた。
「お昼、誘おうと思って……」
 あー、だからあんな急いで戻ったのか。まあ昼飯くらい、“ダチ”なら不思議じゃねーけど……。
「保健室か体育館裏は止めとけよ? いつも先客いるし……ま、ある意味興奮できるとは思うけど」
「おいコラ木瀬! 何の話だ!」
「何って、ナニの話?」
 動じた風もなくケロリとしている木瀬を、一発殴りたくなってきた。いやいやそれよりも今は白河だ。何か、引き返せない感じなのは気のせいであってほしい。
 チラリと横目で見たら、恥ずかしそうに俯いてそわそわしていた。もしかして、すっかりその気かよ!
「木ー瀬ー……!」
「男に二言はないってことで。大丈夫大丈夫、お前がそっち行っても俺は友達だ、普通の方の」
「“普通の方”を強調すんな!」
「取りあえず、彼女待たしちゃ悪いだろー。ほらほら、何処へでも行ってイチャついてこい」
 明らかに面白がってるだろアイツ! 他人事だと思って……!
 追い出された教室を背に、俺達は暫し見つめ合う。睫毛長すぎるだろ、髪も細くて柔らかそうだし、体だって――。
「柳先輩?」
「! 何でもねー! 昼飯食うんだろ、着いてこい」
 歩き出した俺の後ろを慌てて追い掛けてくる一年生。不思議そうにしてる白河には何も言わず、二階の非常階段に向かった。
「入っても大丈夫なんですか……?」
「鍵は付いてないし大丈夫だろ」
 ここはいつも薄暗くて、静かだ。密かにお気に入りだったりする。昼とかサボリの時はよくここで時間を潰していた。
 埃っぽい階段に座ってパンをかじる。白河もちょこんと隣に座って、弁当を広げた。
「柳先輩は、木瀬先輩と仲良いんですね」
「木瀬は知ってんのか」



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