7
「ってことで、善は急げ。白河の部屋行ってこい」
「今かよ!?」
「いいから、行った行った」
背中を蹴られながら入口に追い詰められる。
「……ったく、めんどくせーな」
「ぶつぶつ言わない。んじゃ、また明日なー」
鍵を開けた途端に、木瀬はひらりと去っていった。
もしかして、逃げたかっただけじゃないだろうな……。
とりあえず白河の部屋の前に来たはいいが、これからどうしたらいいかまったく考えてなかった。
「つーか、生徒会忙しいって言ってたような」
もしかしたらまだ帰ってないかもしれない。
ノックしてみた。
「……。やっぱいねぇし」
返事はなかった。
今日はもう引き上げようと思い、踵を返す。
「っ!」
「うわ、わりぃ」
ちょうど帰ってきたらしい白河とぶつかった。
白河はふらふらとおぼつかない足取りで壁にもたれかかる。
様子がおかしい、とすぐにわかった。
「おい、どうした」
「やな……せんぱ……」
熱い吐息が、空気を震わせた。
いや、震えたのは俺の体の方だった。
「からだが……あつ、……っ」
「白河!」
ぐらついた細い体を咄嗟に受け止める。
白い頬は熱を帯びていて、目には微かに涙が浮かんでいた。
これは……もしかして……。
「だいじょ、ぶ、です」
どうにか自分で立とうとしたが、力が入らずその場に座り込む。
「掴まれ」
「……すみ、ませ」
上着に入ってた鍵を受け取って、部屋にかつぎ込むように運び込む。
この前はざっと見ただけだったが、きっちり片付けられていて、白河らしい部屋だと思った。
制服の上着を脱がしてベッドに寝かせる。
「ありがとう、ございました……」
苦しそうに、どこか懇願するように、白河は言う。
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