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7
「お前が始めたんだろーが、最後まで、きっちりヤれよ」
「い、た…痛い、柳…やぁ…っ」
 本気で痛いのだろう。野崎の半身は萎え、幼さの残る目元からは涙が零れている。
 そんなものは男を煽る材料にしかならないというのに。
「萎えてるぞ、また勃たせろよ」
「は…うぁ…あ、…っ」
 言われるがままに、野崎は自身を握り抜き始めた。苦痛だった表情に、違うものが混ざり始める。
「ん…あっあっ…やぁ、あ」
 どんな気持ちだろう。尻に入れられ、自慰を強制され、野崎の考えはまだ解らないが、涙はいつの間にか止まっていた。
「ひ、あんっ…まっ、待って、イク、や、イクぅ…!」
 野崎は自身をむちゃくちゃに抜きながら達した。息を荒くして、ペタリと俺の胸に倒れ込む。俺は待ってましたとばかりに腰を突き上げた。

   ◆ ◆ ◆

「生きてるかー」
「なんとかね……」
 野崎は苦笑しながら腕時計を覗き込む。あと二十分ほどで六限目が終わる。幸い休み時間や授業中に、生徒や養護教諭が来ることはなかった。
「なに、悩んでるか知らないけどさ」
「……?」
「俺に出来ることならしてやるから、なんでも話せよ」
「……野崎」
 いつもの台詞、いつもの笑い方。ただ違うのは、野崎の目から零れた一粒の涙だけだった。
「馬鹿野郎、もうこんなことすんじゃねーぞ」
 日に焼けた茶髪を小突く。サッカー部だからか、程よく引き締まった体は、木瀬とよく似ていた。野崎は軽く日焼けしてるから、木瀬の方が白いが。
 その時俺は、野崎の“木瀬はダメだ”という台詞に気付かないフリをして、逃げるように野崎に背を向けた。
 けれど保健室を出る前、黙っていた野崎がいつもの調子で。
「さっきの、なんでも話せって言葉は、本当だからな!」
 って言ってきたから。
 俺も、いつもの調子で“おう”と返した。



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あきゅろす。
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