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 それで終わらせるな、俺のセックス事情。どこで調べられるんだよそんなん。
「にしても、木瀬先輩、大丈夫ですかね……」
 白河の心配そうな声に、木瀬の腕の怪我を思い出す。再婚のことも、その親父のことも怪我のことも、何も話さない木瀬に苛立ちさえ覚える。
 俺ってその程度の存在だったのか……?
「おはよー。柳、白河」
 後ろから聞こえたいつもと変わらない声に、反射的に振り返ると、木瀬がびっくりしたみたいに目を丸くした。
 あー、こいつもけっこう美人系だよな。チャラい外見で忘れそうになるけど、猫目の睫毛は長いし、肌は白いし。
「柳? どした?」
 ひょいっと覗き込まれて、咄嗟に腕を掴んだらまたビクッと肩が震えた。今度は右手を掴んだのに、木瀬の反応に違和感を感じてそのまま昨日のごとく引っ張っていく。
「えっ、ちょ……おーい、柳ー?」
 木瀬の声は無視して白河を見たら、行ってらっしゃいと小さく手を振っていた。サンキュー白河。
 そのまま体育館裏に連れ込んで、ようやく右手を覗き込んだら、また知らないアザがあった。木瀬は明後日の方向を見て困ったように笑っている。
「この怪我、親が再婚した相手と関係あんのか」
「なんで、それ……?」
「木瀬、俺の質問に答えろ」
 真剣だって解ったのか、諦めたようにため息をつく。木瀬がオレンジの髪を軽くさわいてバンダナを取り、それを腕に巻いた。
「やっぱこれは目立つからな……」
 あの左手の切り傷だ。
「木瀬」
「解ってるって。……でもさ、ホント平気だから」
 今度はあの冷たい目じゃなく、安心させるための無理な笑顔だ。そんな顔するなよ、訳もなくイライラするんだよ。
「……言いたくなるように、してやろうか」
「やな……、っ!」
 体育館の壁に押し付けて無理矢理なキスをする。これには流石に焦ったのか抵抗してきたけど、思ったより腕に力が入らないらしい。
 あの強かった木瀬を思い出す。そんなになるまで我慢してたんだと思ったら余計イライラした。
「ん、くっ……やなぎ」
 震える声で名前を呼ばれて、俺の中の何かが切れる音がした。
 ブレザーとシャツを一気にずらして、首筋や胸に吸い付いていく。焦った声が聞こえたけど、止める気はない。
「お前、なにして……っ」
「黙ってろ――」
「んンっ……!」



あきゅろす。
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