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「柳先輩っ、一緒に帰りましょう!」
「……白河……」
 一年後輩の白河アキラだ。俺に告白してきてからと言うもの、こうしてよく迎えに来るようになった。
「友達、止めるんじゃなかったか?」
 教室だと人目に付き過ぎるから、取りあえず廊下に場所を移す。白河は恥ずかしそうに頬を染めて、でっかい目で見上げてきた。
「だ、だって……もしかしたら脈あるのかなって思ったんです。柳先輩、あんなに激しく抱いてくれたし――むぐっ!」
「だーっ! テメーんなこと廊下で言うんじゃねぇ!」
 爆弾発言かます白河を取りあえず問答無用で黙らせ、改めて俺はなんてことしてしまったんだと頭を抱えた。
「柳先輩?」
「あーもう、何でもいい……てか、ここまで来たらどうにでもなれだ」
「? それって」
 半ば、いやかなり自棄になって呟いてたら、白河が不思議そうに覗き込んできた。……ったく無駄に女みたいな顔しやがって。
「はぁ……帰るぞ」
「え――」
「ぐずぐずしてっと置いてく」
「い、行きます行きます!」
 ひよこみたいに後ろをついてくる姿に、つい笑いが漏れた。歩幅が違うのもあって必死に歩く様が、なんか見てて和む。
 玄関について一度別れる。流石に靴箱は学年で違うしな。
「あれー今帰り?」
 丁度木瀬も帰るところだったらしく、隣に並んで靴をはく。
「……あのさー、柳」
「ンだよ」
「彼女絡まれてるけど、助けなくて良いの?」
「はあ?」
 何だ彼女って――呆れながら視線を移したら、確かに白河が三年の奴等に絡まれてた。いやあれ普通に話してるだけなんじゃ……。
「あれ、行かないんだ?」
「残念そうに言うな。俺を白河の何だと思ってんだお前」
「彼氏」
「張っ倒すぞ」
 そんな馬鹿話をしてたら俺に気付いた白河が駆け足で向かってきた。そして両手を合わせて、深く頭を下げる。
「すみません先輩! 俺ちょっと用事が出来て……」
「おう、行ってこい」
 さらりと返して立ち上がったら、何故か不満そうな白河と目が合った。
「……何だよ」
「柳先輩は、俺が他の人と帰っても何とも思わないんだな、って」
「んなの当たりま――」
 そこまで言って、いきなり後頭部にかなりの激痛。睨み返したら木瀬が呆れた目で俺を見ていた。
「……柳、お前はもうちょい気を使うことを知れ?」



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