3 「失礼します……」 「はっ? おま、何してんだ!」 脱がせようとしてる細い腕を掴むと、ビクッと過剰に奮えたすずが涙目になる。 「ご、ごめんなさい春馬様っ」 おどおどするすずを取りあえず宥めようと、猫耳を撫でてやった。優しい言葉とか、そう言うのは慣れてない。 「ご主人様……」 安心したのか、気持ち良さそうに目を細めて笑うすずが、綺麗だと思った。後ろの白くて長い尻尾も揺れている。 「気にすんなよ。俺も怒鳴って悪かったな」 「いえっ、そんな! ありがとうございます……でも僕、本当にこれしか知らなくて」 「……そうなんだ。前のご主人様がすずにはそれしかさせなかったんだ。俺、それを知って……すずを守らなきゃって」 弟にくっつきながら、らぶが悲しそうに耳を垂らして呟いた。 「そんな、僕なんかより、君がたくさん叩かれてた方がつらくて、僕……っ」 「でも、なつきはそんなことしない! 俺、なつきが大好きだ!」 確かに、らぶの体にはたくさんの傷痕があった。もしかしてあれは全部、“前のご主人様”がつけたものだとしたら……。 「大丈夫だよ、らぶ。俺が守ってやるからな」 ぎゅ、と抱き締め返す弟に感激したのか、らぶが弟をぺろぺろと舐め始めた。 「く、くすぐったいよ〜!」 微笑ましく眺めていたら、すずも二人を嬉しそうに見ていた。 「良かったです……っ」 「良くないだろ」 「え?」 俺はすずの服を捲り上げた。シャツを一枚着てただけの体が晒される。恥ずかしそうに奮えていたすずが、まだ小さい自身に手を伸ばして愛撫し始めた。 「あっ……」 多少乱暴にその手を止める。 「お前、そんなことさせられてたのか」 「ごめんなさい……ごめんなさいご主人様……っ」 「謝んなよ」 あー、こんな時何て言ったら良いんだ。くそ、口下手が災いして言葉が出てこない。あー、うーと唸っていたら、キョトンとしていたすずが小さく笑った。 「ありがとうございます、春馬様」 「いや……、まぁ、取りあえず風呂入るか?」 「え」 「風呂? 入る!」 らぶが弟を踏み越えてはしゃぎだした。何でも好きだなこいつ……。しかしすずはと言うと、 (そりゃあ、猫だもんな……) 真っ青になってぷるぷると震えていた。目の焦点も合っていない。 「ぼ、僕、が……がんばります」 ←→ |