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「っ……委員長くん?」
 いつも巻き添え食らってる、月城だった。
「校内禁煙」
 それだけ言うと、俺の吸い始めたばかりのタバコを躊躇なく握りつぶす。
「……熱くねーの?」
「つい……」
 つい、で握れるもんかね、タバコ。
 興味本意で月城を引き留めたら、昼休み終わるまでならと付き合ってくれた。
 いい暇潰しが見つかったかもしれない。

「親父が、すっげータバコ依存してて」
 昔の話っすけど、と笑った。
 昼の屋上には、まだまばらに生徒が残っていた。
 そのほとんどが俺たちを見てる。
「目立ってるねぇ」
「誰のせいですか。あんたたち恐れられてる自覚はないのか」
「あはは、あんまりないなぁ」
 笑うと、月城は苦笑した。
「ま、でも、タバコはやめようかな」
「え?」
「依存はしたくないんだよねぇ」
 チャラけて言うと、月城はそうか、と複雑そうに呟いた。
「あんたはあまり怖くないって判った」
「それは光栄。ちなみにリョウは?」
「こわい」
「即答だね」
 昼休み終わりの予鈴がなった。
 その日は、そこで別れた。

   ◆ ◆ ◆

「副会長」
 翌朝、廊下で委員長くんに声をかけられた。
 この間までは、考えられなかった光景。
「あ、おはー。どうしたの」
「あの……マジで、やめたんすか」
 信じられないのか、疑いの眼で聞いてくる。
「あれから一本も吸ってませんよ?」
「タバコは」
「リョウにやった」
 両手をヒラヒラとふると、月城は複雑そうな顔で考え込んだ。
「あ、あの、もし俺が言ったことが関係してるなら、忘れてくれても――」
「あー、まぁ多少はあるけど」
 タバコ依存を見てるからか、俺が本気でやめられると思ってないらしい。
 まったく、心外だなぁ。
「俺が決めたことだからさ、気にしなくていーよ」
「助けて月城ー!!」
 言い終わるかどうかぐらいのタイミングで、白雪が飢えた狼を背に飛び込んできた。



あきゅろす。
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