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「正直、葛藤もあった。白雪のことは嫌いじゃないし、いい友達になれるかもしれないと思ってた。けど、しょうがないじゃないか、あいつは俺に、違うものを求めていたんだから」
 後悔とも、懺悔ともとれる表情で、月城は枯葉を握りつぶした。
 グシャ、といい音がした。
「そっか……」
 葉っぱの山に木の枝を突き刺して、焼きたての芋を差し出す。
 正直なんて言ったらいいのか判らなかったけど、月城が頑張ってたのは判った。
「頑張ったな」
 いつもより小さく見える背中を、ぽんぽんと叩く。
 芋を受けとた月城が目をこすって、焼きたてのそれにかぶりついた。
「あっつ!!」
「あーあー何やってんのもー」
 違う意味で涙目になる月城が、笑う俺にむっとして手を伸ばしてきた。
 お、俺に喧嘩で勝てると思ってるのかね、この優等生は。
 軽く流して遊んでやろうかと思ってたら、俺の胸元を掴んだ腕はそのまま、月城が俺の目の前に飛び込んできた。
 一瞬だけ熱く震える唇が、左の頬に触れた。
「…………え」
「――こういうこと」
 昨日の言葉の続きだとでも言うように、月城が目の前で断言する。
 リョウを珍しく本気にさせた白雪、その白雪の想い人の月城。
 その月城が今キスをした相手は――俺?
 耳元でグシャグシャと、壊れる音がする。
 俺が地面に倒されたからだった。
「副会長、俺……」
 どうしよう、俺――もしかして。
 一番壊しちゃいけないものを壊したかもしれない。

 ハロー、俺の壊れ始めた日常。



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