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 志摩以外にもギャラリーは増えていた。小牧は早くその場を離れたくて、強引に踵を返す。
「え、あ……そだ、応援団まだ参加募集してるから、良かったら来てくださいねー」
 何が起きたのかいまいち解ってない伊織はそれだけ言い、そのまま小牧に腕を引かれて三年の校舎を後にした。その直後、志摩が同級生に詰め寄られることになるとは知るよしもなく。

   ◆ ◆ ◆

「で、次は」
「えっと……」
 二年の校舎について、残りの二人に会いに来た。あとは伊織のクラスメートだけである。
「俺のクラスの蒼月と、南もか」
「ん? 蒼月って、もしかして」
「理事長の息子だよー。大丈夫、普通にいい奴だから」
「理事長いくつ!?」
「四十手前くらいだったと思う」
「若っ!」
 親衛隊の監視を神崎に命令していることもあり、学園の内部にかなり詳しいらしいと話ながら、教室につく。
「蒼月と南いるー?」
 言いながらドアを開けた瞬間、全員がぎょっと伊織を見た。うんまあさっきも思ったけど、これが当たり前の反応だよなと小牧が後ろで納得する。すると二人の生徒が駆け寄ってきた。小牧より少し背の高い焦げ茶色の髪と、背の低い赤毛の組み合わせ。
「はは、何着てんだ伊織ー」
「すっげ、超似合う〜!」
「だろ? ほら、俺何着ても似合うから」
 笑い合う三人に、小牧は伊織がクラスでどんな立ち位置なのか理解した気がした。
「まだ応援団募集中だからさ、クラスの奴にも伝えといて」
「オッケー」
「頑張れよ、そこの転入生もな」
 またもや急に話を振られた。背の高い方が小牧を見て邪気なく笑っている。
「サンキュー」
「おう」
 今回は後味もよく別れられてホッとする。そのまま生徒会室に戻ると、相楽がひっきりなしに仕事に終われていた。
「あれ、副会長さん。仕事はだいたい終わったんじゃ……」
「応援団に参加したい生徒の申請が、さっきから凄いんだ」
 走り回る相楽を横目に、こうなることを予知していたのか深影は欠伸をしながら外を眺めていた。

   ◆ ◆ ◆

「深影も少しは手伝えば良かったのに」
 今日の仕事が終わる頃には、すでに夕方近くになっていた。夕飯は食堂から届けられ、それを食べ終えた二人は生徒会室でのんびりしていた。
「知るか……それより伊織、テメー志摩に何もされなかっただろうな?」



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