小説 6 「....なんか用かの」 早くどっかいけよという思いをこめて、光悦は低い声で言った。しかしそんなこと気にしていないのか、男はニコニコと笑っていた。 「俺カーストってんだけど、おめぇらは?」 「....名前聞いてどうするの」 「神隠しにあってたってヤツの家どこか知らね?」 会話が出来ない。顔はいいのに性格が最悪だ。そう思いながらもコキアは首を横に振った。それに驚いた光悦はコキアの服を引っ張りそこから少し離れる。えー知らねーのー?と後ろから聞こえてきたがこの際無視だ。 「教えたらんのか?うちら知っとるじゃろうが」 「面倒なの。忙しいし。知らないことにしとく方が楽....っ!!」 ―バッ!! 「....っ何するのよ!!」 髪を押さえ勢いよく振り返るコキア。怒鳴りつける先にはカーストと名乗った男が。一瞬キョトンとしたカーストはすぐにニコニコとしだし、自分の髪を摘んで持ち上げる。 「お揃い。その髪染めてる? .....それとも『異端の印』か?」 「!?」 ニタァっと怪しい笑みを浮かべ、カーストは2人に背を向け歩き出した。小さくなっていく背中を、コキアは睨み続けた。 backnext [戻る] |