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そんなことを思っていたら目的地には既に着いていた。

化学室。どんなところだろう。
ドキドキしながら先生がドアに手をかけて開くのを待っていた。


「おや、これはまた大勢来たな。こんにちは。私はヴェルデだ。よろしく」


緑色の髪をした眼鏡を掛けた白衣の男性が部屋の中心に立っていた。
化学室が暗いから、どこか陰気な、ミステリアスな雰囲気が印象的だ。

――あれ? この人、初めて見る。


「当たり前だ。こいつは実験と化学式しか頭にねぇからな」

「リボーン様!?」


またこのお方はどこからいらしたのか。
先程まで全く姿を見かけなかったからはぐれたのかと危惧していたが、どうやらそれは杞憂であったようだ。


「蘭、てめぇ、一回頭ぶち抜いてやろうか」

「え、えぇ!?」


なんだか不機嫌!?
え、私何か失礼なことを言いましたか!?


「リボーンには気をつけた方がいい。そいつは読心術が使えるからな」

「チッ、早く説明を始めやがれ」


なるべく話などしたくはない、とでも言いたげな様子でリボーン様は部屋には入らず、廊下の窓際まで行きもたれ掛かった。

なんだろう。
こちらもギスギスとしたいびつな感じがする。

もしかしなくても、私がその原因か?


「さぁ、そこに突っ立ってないで中に入ってくれ。あぁ、そこの液体には触らない方がいい。服に触れてしまったら後で穴が開いてしまうからな」


そんな液体をどうして放置するの!?と驚いたけれど、化学室というのだからそういうものなのだろう。
私はドジだ(ラルさんに毎回そう言われていた)からこれは細心の注意を払わなければ。
なるべくリサさんにくっつきながら(「蘭、動きにくいですわ」と言われたがそれどころではない)ヴェルデ様の説明に耳を傾ける。

う〜ん。なんというか…。
入れない世界が一部見れたような気がする。
私、きっと化学には不向きな頭なのかもしれない。

一応『化学』は一年のカリキュラムに入っているからこれは頑張らなければ、と意気込みを改めました。

このオリエンテーションってこんな気持ちになるように一年を戒める効果も持っているのかしら、と思った瞬間でした。




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