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「よ、よかったですね。その子、見つかって。」
「はい。貴女のお陰です。ありがとうございます。」
「わ、私は何もしてません。むしろ私のほうがお世話になっていましたし…。ありがとうございました。」
お互いに頭を下げあう。
久しぶりだ、このやりとり。
外国の人はあまり頭を下げるという習慣がないらしいから。
丁度彼もアジア系の人なのだろうか。
黒髪だし、中華服だし。
……なんだか物凄く親近感が湧いてきたぞ。
「では、私はこれで…、」
直ぐさま立ち去ろうともう一度頭を下げて踵を返そうとした。
が。
「もうこんな時間ですし、家まで送りましょう。」
引き止める為にか腕を掴まれ、それと同時に急な申し出が下された。
「――!!!、い、いいです!!私、帰れます!!」
「いいえ。この子もお世話になったことですし、送らせて下さい。」
私の返事はすぐさま却下された。
え、無理!
私の心臓がもたない!!
「あ、あの、私、家がこの近くですから心配なさらくても大丈夫です。そ、それに、さっきも言いましたけど、私がその子にお世話になってただけですから気を使われなくてもいいんです。」
今までにない早口で言ってみせる。
緊張しすぎて自然とそうなっただけなのだけれど。
普通の会話でまずこんな現象は起きない。
言い終わる以前に舌を噛んで悶えていると思われる。
いろんな意味で追い込まれてます、私。
あぁ、頼みますからどうか諦めて下さい。
そして出来たらこの腕を離して下さい。
もはや緊張は最高超に達して、身体が震える。
「けれど、この辺は結構危ないんですよ。」
ですから送らせて下さい、とまで言われてしまったらもう断れないだろう。
初めてお会いしたのにそこまで心配して下さることにびっくりした。
“他人の心配を無下にしてはいけない。”
不意に頭の中でその言葉が頭を過ぎった。
それは失礼のないように、と両親が私の将来を慮ってくれた言葉。
同時に、人の考えを尊重する意味も兼ね備えていた。
「う〜、…で、でも本当にいいんですか?ご迷惑では…。」
「大丈夫です。私が送りたいから送るんです。気を使わなくてもいいですよ。」
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