V


「さて、問題はアレだな。」


リボーンはもう一度視線を桜の木の下にいる少女に向けた。
彼女と彼らのいる位置はかなり遠い。
彼女は踊りに夢中なようでこちらに気付く気配など全くない。

見つけてくれたらなんとかなるんだろうが、生憎この距離だ。
彼らだからこそ見つけられたのであって、一般的存在であろう彼女が気付くのは至難の技。


「どうしましょうか。あんなに綺麗な踊りを中断させるのは心許ないことですし…。」


白い彼女の発言でリボーンの行動は制御された。
ズカズカと相手に近寄る気満々だったのだが、どうやらそれは出来ないらしい。
ますますどうすればいいのか途方に暮れていると、リボーンの横をすり抜けて行った白いモノを見咎めた。


―――白い猿。
あれは――


「おい、風。お前のペットがあっちに行ったぞ。」

「………何かあったのでしょうか。」


止めることなく見送ってしまった風と呼ばれた中華服の彼は首を傾げた。


「「「…………!?」」」


暫く白い猿の動向を伺うことにした一同は思わず目を見張った。

少女のもとへ駆け寄った彼は注意を自分に促すと少女もそれに気付き、踊るのを止めた。
それから二言三言話したと思ったら次は一緒に踊り出したではないか。


「……どうやら知り合いのようだな。」

「……そのようですね。」


何故こちらに注意を促すように言わないのか、あの猿。
なんて闇で思っていたリボーン。
舌打ちしたい心境に駆られていた。


「と、いうわけで行ってこい、スカル。」

「なんで俺なんだよ、お前が行け…すみません、行かせてもらいます!」


リボーンが再度拳銃をちらつかせると反抗しようとしていたスカルは180度態度を一変させ、深く頭を下げた後、一目散に少女に駆け寄ろうとした―――その時だ。


「ちょっと待って下さい。」


風が前に進み出た。
自然、集まる視線。


「彼が知っているということは私も知っているということ。私が行ってきます。」


それもそうだな、とリボーンは渋々その意見を聞き入れ、風を送り出した。




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あきゅろす。
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