ふじ×おた あの〜母さ〜ん? 「どうした東吾ッ!」 デカい音を立てて、母さんが部屋に飛び込んできた。 たぶんオレの声を聞いたからだろうな。 …ってか、居たんだ。 「かかかか、母さぁぁぁん!」 立とうと思っても立てなかったから、床をはって母さんに抱きついた。 小学生としては恥ずかしいけど…そんな事言ってられん! 「だからどうした!」 「あ…あれ…っ」 ふるえる指でベッドを指差した。 うああぁ〜放り出された本から何かオーラみたいなのが出てる気がする〜! 忘れたいのに、そう思うと逆に思い出してしまう。 うぅ…泣きそう… 頭がぐちゃぐちゃで何も言えないオレを引きずりながら、母さんはベッドに近づいた。本を手にとって、顔をしかめる… ──と、思ったんだけど。 「何だコレか」 なんて普通に言ってのけた。 それどころかベッドとオレを見比べて、ニィッとイジワルに笑った。 「小学生でエロ本とはマセたガキだなぁ。誰から貰った、あんな山ほど」 「山っ…!?」 たしかにベッドの下にはエロ本がギッシリあったりする。 ば、バレてたんだ… 「鼻垂れのクセして随分な頻度で見てるこって。まさかこんな早く見付かるとは」 ちっ、と小さく音を立てて母さんはドカッとベッドに腰かけた。 「…その本…母さん、の…?」 「おうよ。話すのはもう少しデカくなってからと思ったんだが」 予定が狂ったなぁ、とへーぜんとした顔の母さん。 オレはというと開いた口がふさがらない。 あんな本がある事自体信じられないのに、それを母さんがわざわざかくしてたって事にもビックリだ。 「ま、いずれ話す事だしな」 そう言って。 母さんは少しだけマジメな顔をした。 …少しだけ、だけど。 [*前][次#] [戻る] |