また、夜が明ける
3
やることも終わったし…これからどうしようかな。まだ寝るには早い。ソファに横になりながら、考えた。きっと…俺がわがままを言っても政宗さんは叶えてくれる。でも、その優しさに甘えるようなことはしたくない。
だから、必然的に俺ができることは限られている。
「どうしようかな…」
(何だか、眠くなってきちゃった…)
俺が風呂から上がると、変に部屋が静かだった。テレビはまだ付けっぱなしだったから、隆一がまだ観てるんだと思ったが、姿がない。おかしいと思いつつ、テレビを消そうとリビングへ歩く。
「おわっ」
いないと思っていた隆一が、ソファに横たわっていて、つい素っ頓狂な声をあげてしまった。誰も見ていないとわかっていても、何となく恥ずかしい。
「隆一…?まだ起きて―――何だ寝てんのか」
珍しくリラックスしてテレビ鑑賞かと思ったら、その目は閉じられ、規則的な呼吸を繰り返していて。その無防備なその姿に、どきっとした。
隆一と上手く関係を築けないでいる俺。―――隆一は俺を怖がる。本当に愛おしくてたまらないのに、わかってもらえないことが辛い。
-す
隆一の前髪を上げ、顔を近づける。
(起きるな、まだ起きるなよ。俺の唇が届いてからにしろ)
-ちゅ、
隆一の額にキスを落とした。
相も変わらず隆一は眠ったままで、気づいてほしいような、でも気づいてほしくないような、複雑な気分だな。
「…明日はとことん甘やかしてやる」
「浮気者」
「っ!?」
今度こそ俺は心臓が止まるかと思った。隆一の目がいつの間にか開いていたのだ。俺が驚いて固まっていると、隆一がまた話し始める。
「まーた隆一にちょっかい出してるんだ?政宗」
「…お前、リュウかよ。」
「何だよ、そのあからさまにがっかりみたいな態度はさあ」
くつくつと笑うリュウ。俺はこの人格ごと隆一が好きだ。両方に俺を好きになってほしい。だが、隆一にあとちょっとで手が届く、そういうところでリュウは現れる。
「空気読めっての。」
「読んでるよ?だから出てきた」
「は?」
「隆一なんかやめて俺にしろってば」
「…また、その話か?言ったはずだ、俺はお前も隆一も愛してる」
「……政宗の分からず屋〜」
「何とでも言え」
もう3ヶ月も一緒にいるのに、隆一の意識が無いときはリュウだってことを学習しねえ俺。馬鹿みてえ。
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