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また、夜が明ける







「ここがお前のこれから通うAクラスだ。」

「っ、」



-どきん、どきん、

心臓がうるさい。静かにしろ。
これから大勢の人と会うんだ…今からびびってどうする!
俺の必死な様子に気付いたのか、藍田先生はこっちを見た。

-ばしっ



「痛っ!」



-ガラッ

背中を思い切り叩かれたと思った刹那に、いつの間にか教室の中に俺はいた。
先生はにこにこ笑っている。



「よーっすお前らァ。こいつが今日から新しくAクラスに通う転校生だ―――ほら、名前とか何でもいいから適当に言え。」



最後の辺りは俺だけに聞こえるように言ってくれた。ずっと頭の上に乗ってる先生の掌の体温が、何だか安心する。
覚悟を決めて口を開いた。



「は、初めまして…姫野隆一です」

「はァ?リュウ?」

「えっ、」



自己紹介すると、一番前の女の子から声が上がった。一見可愛いらしいけど、口調が荒い。何か気に食わないことでもいったかな…?



「なあ、あんた!うちのこと覚えてない?」

「何だお前ら、知り合いか?」



必死に記憶を掘り返す。
見たことあるようなないような。

(―――あ!)



「麻衣ちゃん…?」

「そーだよ!小学校以来!」

「はいはい、その辺でストップな。隆一、お前菅谷の隣でいいから取り敢えず座れ。」



麻衣ちゃんは小さい頃から仲良しだ。
というのも親同士が親友で家も近かったからだ。
麻衣ちゃんがいるなんて心強いなあ。



「昼休み一緒に食べようよ。話したいことたっくさんあるんだから!」



彼女の顔には、さっきの笑顔は消えていた。

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