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また、夜が明ける
3






廊下を一人進んでいると、前から人影が見えた。一気に体が緊張で強張り、俺はその場に立ち尽くしてしまった。



(こういうときって、あ、あいさつとか…した方がいいのかな。)



人影は段々近づき、姿がはっきりと認識できた。黒髪で背の高い―――男子生徒のようだ。いつあいさつしようかとタイミングを見計らっていると、その人は俺に気がついたみたいで。



「……こんにちは」

「へっ!?」

「………」



俺より先に挨拶してくれた。
だけど俺はびっくりして素っ頓狂な声をあげてしまった。その人は不審そうに俺を見つめ、俺の前に立ち止まった。



「あんた、見ない顔だ。転校生か何かか?」

「は、はい!よろしくお願いします!!」

「へえ。俺は二年の相馬隼人( ソウマハヤト )だ。困ったこととかあったら声かけて。いつでも助けになるよ」

「…ありがとうございます。」



なんて親切な人なんだろう。
そんなに表情が豊かってわけじゃないけど、不安でいっぱいだった俺はその優しさに泣きそうになった。

表情を変えないままその人は行ってしまった。



(政宗さんといい相馬さんといい、世の中には良い人がたくさんいるんだなあ。)



しみじみと感じながら廊下を歩く。
それにしても長い廊下だなあ。理事長室なんて部屋全然―――あ、あった。

やっと突き当たりまで着いたみたい。



(ま、まずは…ノックしなきゃ)



夏桐さんに教えてもらった通りにやらなきゃ。だけど、手が震えて上手く力が入らない。落ち着け、俺!



-ガチャ

-ばんっ

「あいたっ!」

「あら」



いきなりドアが開いた。しかもすごい勢い良く。ぶつけた頭をさすりながら、出てきた人を見上げる。見上げるくらい大きい人だ。

そして俺は気づいた。その人が誰なのか。



「え………すももさん?」

「遅かったわねぇ、心配して迎えに行くとこだったわん。」



可愛らしくウィンクして俺の頭をぽんぽんするすももさん。夏桐さんが言ってた俺を任せてる人ってすももさんのことだったんだ…。

でも何で?学校の関係者なのかな。



「何で私がここにいるの?って顔してるわね。」



すももさんの言葉に、俺は素直に首を縦に振る。すももさんはにっこりと笑ったあとにこう言った。



「私、この学園の理事長なの」

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あきゅろす。
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