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また、夜が明ける
decision








-ピピピピピ、



朝、目覚ましに起こされて、爽快な朝を迎える―――はずだった。何だろうこの疲労感。体がだるい。



(もしかして、昨日何かあった……?)



心臓が早鐘を打ち始める。
でも体は綺麗だし、自分のベッドだし……風邪でもひいたかな?
サイズ合わせしてたのにそんなことになるはずないよね。俺の思い違いかな。そう思ってベッドから立ち上がる。



-べしゃっ

「あいたっ」



腰が痛い。
俺にとっては十分過ぎるくらいの証拠だった。昨日政宗さんと俺…寝たんだ。
俺が覚えてないってことは、リュウが…政宗さんと?―――昨日の夜に。



「………なん、で」



サイズ合わせの後にどうして昨日そういうことになったんだろうって意味じゃない。泣いてた。いつの間にか涙が頬を伝ってて、自分でも何でかわからない。



「止まらない……どうしよう。」



手の甲で擦ってみたり、上を向いたり試してみたけど。どうやっても止まる気配はない。

その後俺は、政宗さんにみっともない姿を見せたくなくて、落ち着くまで部屋をでることができなかった。

























「おはようございます…あれ、夏桐さん?どうしたんですか?」



キッチンに人影が見えて、政宗さんだと思って挨拶した。しかしそこにいたのはエプロン姿の夏桐さん。朝食を作ってくれているみたい。



「おはようございます、隆一くん。学校が始まったら殆ど私が付くことになりますから、今の内からお世話をさせていただこうと思いまして…」

「はあ。でも俺、それくらいならできるんで…あ、やります!夏桐さんは座ってて下さい」

「いいですよ、私がここにいる理由が無くなるじゃないですか。」



困ったように夏桐さんは笑った。
う……なんて男前なんだ。結局俺は夏桐さんの笑顔に負けて、そのまま美味しい朝食をいただいてしまった。情けない…もう他の人に迷惑をかけたくないのに。



「もうすぐ登校初日ですが―――隆一くん、大丈夫ですか?快く承諾したそうですが」

「はい。このままじゃダメだって自分でもわかってますし…最初はずっと怖かったですけど、政宗さんには本当に感謝してます。」

「……そう、ですか。」



それを聞いて安心しました、と紅茶を淹れてくれた。もうすぐ学校に行ける…友達をたくさん作って、たくさん勉強して。政宗さんに迷惑がかからないように自立しなきゃ。



「頑張って、隆一くん。」



夏桐さんは笑って言った。その笑顔が少し悲しそうに見えたのは―――俺の気のせいだったのかな。

その理由を、俺はもっと後になって知ることになる。

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