また、夜が明ける
※4
隆一がいきなり倒れた。
原因はわからない。あまりにもナチュラルだったからさっきは気にしなかったが、どういう訳か―――隆一の意識がある時にリュウが出てきた。
だからなのか……?
「―――ん、」
「隆一……?」
「まさ、むねさん…?」
「大丈夫か」
「ばーか、俺だよ」
見事に引っかかってしまった。
それよりも、だ。リュウに問い詰める必要がある。こいつもそのために出てきたに違いねえからな。
「あの時何でお前が出てきた?何で倒れた?」
「いきなり質問責めかよ……いーけど」
不機嫌に髪をいじりながら、リュウはため息をついた。あからさまなこの態度―――すっげーむかつくけど、こいつツンデレだからしょうがねえか。
「俺にもわかんない。」
「・・・は?」
「思ってたことが隆一の口を通じて出ちゃった。俺も予想してなくてさ…途中からまあいっかってなったんだけど」
前からだったが、確かにリュウが自らの意志で自由に現れることはできなかった。じゃあリュウじゃなくて隆一なら何か感じ取ったかもしれないな。
「たださ、政宗。」
「…何だ?」
「隆一と俺の意識が重なったってことは……やっぱ何でもない」
「何だよ、最後まで言えって。」
「いい。言わない。」
「………?」
何かを言おうとしてからリュウの血相が変わった。なんだ…?すげー大事なことはぐらかされてんじゃねえの?俺。
その後もなんとか聞き出そうとしたが、リュウはまともに取り合おうとはしなかった。
「なあ政宗……前、次出てきたら可愛がってくれるって言ったよな?」
「あ?ああ、言ったな。」
「お願い―――今乗り気じゃないかもしれないけどさ、………抱いて。」
突然の直球なお誘いに、俺は目を見開いた。いつもなら俺を馬鹿にしてながら、挑発的に情事に持っていくのがこいつのやり方だった。今日は一体何を考えているのか疑うほどに素直だ。
リュウは、切羽詰まったような顔をしていて、理由は聞かずに俺はリュウをリビングのソファに押し倒した。
「あっ、あん…っ気持ちいい……政宗っ」
「今日は本当どうしたんだ?やけに、っ、素直じゃねえ?」
「うる、さいっ!!ちゃんと……っ!!!!」
リュウが毒を吐く前に、良いところを突いてやる。急な刺激にびっくりしたのか、言葉を引っ込め真っ赤になっている。―――可愛い。
「政宗……まさ、むね…っ」
リュウは情事中繰り返し俺の名前を呼んだ。何かを怖がって俺に助けを求めているようで、たまらなく愛しかった。
お互いを求め合い、そして―――また、夜が明ける。
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