詩集
『じゃあ、さよなら』
口を塞ぎ生きてきた
人と人の群れにも塞がれ
限られたガラクタの様な言葉の中から
使古しを選んでばかり
「あれも…これも…みんな同じ…」
カギ爪のようなその言葉の
侵入を許す私の穴々
一掴み脳を締め付け
頭蓋を這う鉄の百足
執拗に…執拗に
こんな事でもう笑いたくない
吐いてしまい 何もかもを
私の露呈さえ恐ろしくて
誰も怖くはない
誰よりも怖い自分がいる
病みくすんだ手で手に取る本は
陰鬱な埃でうす汚れている
それでも救いを手にしたような気分でいる今は
崩れ逝くステンドグラスを一頻り壊して
悲鳴と共に伝わるがいい
割れる音が、心の叫びを刺すだろう
蹲り、時を待つ間は
「誰も近寄らないで」
微かに 呟いたら
一人、また一人と去っていく
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