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REBORN
夢幻の聲


どこから漏れているのか時々滴る水音とそれを反響する部屋。
嫌に静かな部屋は意識せずとも漏れる喘ぎ声をも反響させ僕のなかの羞恥心を増幅させる。

「っ……はぁ……」


一衣纏わぬ姿にされ曝された素肌を這う上質な皮の手袋に覆われた右の手は弱点とも言える首筋を重点的に責め、赤い血液の巡った舌は耳の裏を触れるか触れないかの位置で時折耳たぶを甘噛してくる辺り質が悪い。



ガリッと床を引っかけば指に食い込む質の悪い革生地。

息を吸い込もうと口を開ければ途端大きくなる声。


六道という人間の支配によって己の精神が侵食されてゆく感覚は不思議と僕を酔わせていく。


このまま快楽に流されてしまいたい。


この僕を一時の間だけでもそう思わせてしまうほどにそれは強力な効果を持っていた。

「や…め……ッ、あ…」

「本当に君は面白いですね、自らの快感にすら支配を受けることを拒むとは。流石は雲の守護者…とでもいっておきますかね。」
「っ…う…るさい」
「さあ、その減らず口はいつまで持ちますかね。」
「ふぁ……、んっ!」

必死に快楽から逃れようと身をよじるが口から漏れる甲高い声だけはどうしようもなく僕の精神を快楽が蝕む。




「もう、この位の刺激では足りなくなってきたのではないですか?」


まだ触れられてもない自身を撫でられれば既に芯を持ち始めてたそこはあっさりと反応し耐え難い快感を生み出す。


「――――っく……そこ、は…」

「おやおや、久々だからですか?すぐイっちゃいそうですね、ココ。」


「っ―――ぁ……さわるなっ……」
「いいんですか?触られなくて困るのは君かと思いますが。」

嘲笑と共に止められた手。
どうしようもなくその手を求める身体
それを許さない僕のプライド。



全て骸は解っている。
わかっていてやっているのだ。
僕が快楽に縋るその瞬間、僕のプライドがズタズタに引き裂かれるその時を見るために。
だが、それが解ったところで今の僕に何が出来るだろう。


「辛いですか?こんな中途半端な状態で放置されればいくら君だろうと辛いですよね。」
「―――ぁ、っあ…はぁ」


戯れるように先端に軽く爪をたてられれば強すぎる刺激に体が震え散々押さえていた声も次々溢れ出てしまう。
もはやその感覚は気持ちいいのレベルではなかった。度を超した快楽は僕の思考をじわじわと奪っていく。



「素直に快楽に溺れなさい。雲雀恭弥。」



優しい、だけどどこか命令的なその言葉に逆らう気力など今の僕には残されていなかった。

「む…くろ……」


堕ちたのは孤高だの何だのあれだけ称賛を受けていたはずの僕の精神。






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