REBORN 拝啓−未来の僕へ 「危ない!!」 赤ん坊にいつも引っ付いてる草食動物の、そんな声が聞こえた気がした。 ただ確認するより先に視界は真っ白になっていて…気がついたらよくわからない空間にいて…… 「恭弥!?」 「ヒバリ!?」 目の前には無駄に髪の伸びて大人びた六道と、同じく無駄に目付きが鋭くなり別人にしか見えなくなった沢田がいた。 拝啓―未来の僕へ アットホームとは言い難い一目で高級品だとわかる空間。 大きな机に呼応するかのように三脚用意された椅子には六道(?)と沢田(?)が既に着いていた。 「…………ホントに君達あの二人なの?」 別人にしか見えない…というよりホントに別人なんじゃないかという姿で…。 寧ろ見分ける手段が髪型しかない。 彼等の独特のヘアースタイルが初めて役に立ったんじゃないだろうか……。 「恭弥……というより…」 「昔のヒバリみたいですよね。」 少し低い気がした声が紡ぐ言葉は完全にこちらの質問から逸脱していた。 スルーとはいい度胸だ。 骸はともかくあの草食動物にまで… それに…だ。なんでこんなに馴れ馴れしいんだ、恭弥だのヒバリだの……… 「君達何様になったつもり?いきなり呼び捨てにしだすし…六道はともかく沢田まで。」 「"沢田"だって!今の聞いた!?骸?」 「えぇ。恭弥から六道と呼ばれるのも久しぶりですね。」 何? 僕なにかおかしい事言ったの? 状況が全くもって理解出来ず呆然と立ち尽くす僕に気がついたのか沢田(?)が立ち上がり僕に近づいてきて……… 近づいて…………き…て… 「ちょっ…!なんで君達そんなに大きくなってるのさ!!」 思わず後ずさった。 そう。 目の錯覚では済まされないほど大きすぎたのだ。彼等は。 いくら六道が僕より高かったにしても…ここまで大きくなかったはずだし。 そしてなにより沢田綱吉! 僕より年下で随分―――だったかは覚えてないが…ともかく自分より確実に低かった身長が自分の頭の上……つまりは僕が彼に見下ろされる位地にあった。 何、人って一日でこんなに成長するものだったの? 「大丈夫ですか…恭弥。とにかく落ち着いて下さい。」 六道に宥められ空白の席へと促されるままに腰を下ろす。 もう何が何だかわからない。 もう夢としか思えない。寧ろ夢だと信じたい。 思考がぐちゃぐちゃになって、とうとうマズイと言った所まできそうになった時骸に頭を撫でられた。 それがまた今まで感じた何よりも暖かくて… いつもなら振り払うそれも今だけは振り払えなかった。 なんて自分には似つかわしくない空気が周りに流れ始めた頃、コホンと咳ばらいの音が聞こえ顔を沢田のほうに向ける。 が、即座にそらした。 何が腹黒い空気というかオーラが沢田から流れていた。 満面の笑顔が更に恐怖を引き立てる。 それはもう寒気がするほどに………… 骸もそれに気がついたのか両手を顔の横に挙げ降参の意を示した(何に対してかはわからないが……… そして完全にオーラが消え去った頃…沢田の口から告げられた事実は俄か信じがたいものだった。 「えーわかりやすくいいますと………今ヒバリは自分のいた世界から10年後の世界に来ちゃった…って感じかな?」 「まあ要するに―――【タイムスリップ】ですかね。」 ホント…………夢だと信じたいほどに。 ――――――――― 拍手の再録です。 +10の世界にきてびっくりする雲雀さんが書きたかったんです。 ギャルゲ風に骸ルートと綱ルートを用意したいな…なんて考えてるので気長に待っていただければ更新してるかもしれません。 |