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REBORN
雲雀恭弥の憂鬱







キッチンという空間の中でグツグツと煮える鍋にエプロンにオタマ―――


これだけ聞いて一般的に誰を連想するかと聞けば返ってくる返事は決まって母親だろう。


「(肉にジャガ芋、人参に……玉葱を入れてっと……あと何がいったか……あぁ糸こんにゃくだ。)」



誰がこの主婦思考の持ち主に並盛最強風紀委員長を連想出来るだろうか。








  ≪雲雀恭弥の憂鬱≫







窓から差し込む光りは夕日により赤を帯びる。

コトコトとかグツグツとか独特の効果音


夕食として製作中の鍋からは肉じゃがのいい香りがしていた。


「ん…味が薄いか………。」

もともと一人暮らしだったこともあり料理は得意なほうだ。
肉じゃがぐらい簡単なメニュー等別に二人分作ることくらい造作もない




「アイツの為に作ってるってのが気に入らないけど…。」


問題はそこなのだ。

これじゃあ、アイツの為に尽くしてるみたいじゃないか…………

まるで骸の新妻のようじゃ……

「なっ…何考えてるんだ、僕は!別にやりたくてやってるわけじゃないんだからいいじゃない///僕が作るついでにだよ!つ い で!!」

いつのまにか思考として収まりきらない思いが言葉として発せられていることに気がつくが、当然独り言には誰の返答も帰ってくるわけもなく一人赤く染まった頬を隠すかのようにその場にしゃがみ込む。


「ほんと……何やってるんだ……僕は………。」


髪をグシャグシャと掻き回し思考を一掃しようと立ち上がれば

ガサリ―

「…………?」


近くで聞こえる物音に動作を止める。


ガサ――ガサガサ――

「なんなの…………。」

音源を探ろううと耳を済ませば片隅に積み重ねられた新聞紙。
ため息混じりに音源に近づき一気に剥ぎ取った―――――。







―――――――――――――――







現在雲雀恭弥は六道骸と同居している関係にあった。
家庭の事情でもなければ金銭的な問題による理由でもない。
所謂、恋人という立場による恋愛感情的な理由で――だ(本人は認めたがらないが)。


無論、この広いマンションの同室には骸もいるわけで………。




「な…何の音ですか…?」



ドタバタとまるで敵が責めてきたかのような慌ただしい…階段から転げ落ちるかのような足音。


尋常ではない。



「むむむむ骸!!!!」


バァン!とそのまま飛んでいきそうな勢いで開けられた扉は壁にぶつかり反動で元に戻るが、その前に開けた当人は通り抜け終えてたので当たることはなかった。

「って…ぇえええええっ!?」

ガバッ―と押し倒すような勢いで抱き着かれ思わす叫ぶ。
いや叫ばざるを得なかった。


恭弥が…あの恭弥が自分から抱き着いたのだから。

とりあえず押し倒されないよう踏み止まり、訳を聞こうと顔を上げさせる。

「どうしたんですか!?」

息も切れ切れ。
エプロンは乱れ、目尻にはは走りすぎてか、はたまた別の要因なのか…涙が浮かんでいる。


何が起きたのかさっぱり解らなかったがただ一つ言えたことは


「(も…萌え死ぬ!!)」

乱れたエプロン。
ハアハアと乱れた呼吸に涙目+(身長差のおかげで)上目使い。

そんな格好で抱き着かれては骸の中の理性という壁が崩れさるのは目に見えていた。


「襲われにでもきたんですか?」

「馬鹿!?違うにきまってるでしょ!!アレ!アレがでたの!!」


「ハイ?」


全力で否定されたのは仕方がないとして、アレとは何だろう。

「だ…だから!黒くて油ぎってて気持ち悪くて!!!」

「あぁ…ゴキブ「それ以上言わないで!!この部屋にもでるじゃない!!!!」」

名前を読んだだけで出現するなど…いったい奴らは何処の召喚獣だ。


「わかりました。で…何処に?」

「キッチン……。」

エプロン姿はその為か…
ゴ〇ブリごときが恭弥の料理の邪魔をするとは許せませんね…。

「早くしてよ!見失ったら僕もうこの家にいられない!!」


あぁ…もう。
退治してあげますからその格好で抱き着かないでください…
ゴ〇ブリを退治する前に、僕の中の本能が理性というものを退治してしまいそうなんです………。




―――――――――――――――



「ハイ、退治完了です。」

スリッパでやるなとのお達しだったので掃除機で吸い込みそのままゴミ袋にポイ。なんて方法


掃除機の素晴らしさを実感できました。








「………ホントに死んだんだよね?」


ワイシャツの裾を掴んだまま話す様子のない恭弥を宥めるように頭を撫でる。

「殺した所みたでしょ?」

「でも…一匹いたら十匹いるって………。」

「なら僕が全部倒してあげますよ。」


何時もの暴力的な彼は何処へやら…
すっかり怯え切った彼を優しく抱きしめる。




「ホント…………?」

「ハイ。」



その言葉を合図に今までずっと離れることのなかった体から力が抜けた


「なら信じてあげるよ。その変わりちゃんと守ってよね!」



「もう…………恭弥可愛すぎです!!!!」



理性の限界はあっさりと破られた。
再びおたまを手に持ちコンロに火を点けようとした恭弥に抱き着く。



「なっ…馬鹿っ……危ないよ!料理まだだからっ!!」


「では食後のデザートに君を頂くことにしますねっ」

「調子にのるな!」


口調は厳しいものの何時もなら飛んでくる蹴りが飛んでこない所を見たら期待してもいいのだろうか……。




まあ、抵抗しようがしまいが…美味しく頂かせてて貰うことに変わりないんですがね。












「(なんて理不尽な関係!それでも愛してるって思う僕はおかしいの?)」







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ツンデレらが大好きです。
タイトルは某小説から。
残念ながら霧火はハ〇ヒシリーズは一作も読んだことがありません


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