novel
Figure and Contents
「ねぇ、アイ」

くるり、と振り返った表情は何か嬉々としていて、今の見た目の年齢相応の顔をしていた。
きっと、本来の「姿」は見た目ほど年をいっていない。けれど本当の年齢なんて、こちらでも分かるわけがない。

それは、彼が「姿」を探している最中だからだ。

「・・・ねぇ、アイってば聞いてる?」
「・・・脳噛ネウロの「中身」が、どんなものか、ですか?」
「だからー、アイはどんなんだと思う?」
「貴方にも分からないのに、私が分かるものではありません」
「予想でいいの!予想!」

どうやら今の回答では不満だったらしく、目の前の少年は困ったような表情になる。
気づけば、食事は終わったらしく口の回りに肉片やソースをたくさんつけている。皿の上にあった肉は、勿論綺麗になくなっていた。その汚れた口元を拭くために、懐から白く清潔なハンカチを取り出して、強すぎずけれど確実に汚れが取れるようにその口元を拭う。

「ねーぇ、アーイー」
「・・・私の様なものには、あの化け物の「中身」など、予想がつきません」
「えー」
「・・・ただ、」
「「ただ」?」
「「謎」を主食としているので、「中身」にも「謎」が沢山含まれているのでは?」
「・・・ふーん・・・」

すっかり綺麗になった口元を確認してから、代わりに汚れたハンカチを懐に戻す。

「それはそれでおもしろそうだけどさ、俺が解けないような「謎」がいっぱい詰まってたら嫌だなー」

俺、「謎」を作るのだったら得意かもしれないけどさ、と少年は呟いた。

「・・・今日はどういたしますか?」
「んー、そろそろ「コイツ」に「なる」のも飽きてきたから、周りの奴等の「中身」を見てみよっかなー。さして「コイツ」とは変わんないんだろうけど」
「そうですか」

少年はにっこりと笑うと、顔の細胞を変化させ始めた。
1分も経たない内に、目の前にいた少年の「姿」はなくなっていて、代わりに少し皺の多い50代ほどの男の「姿」がそこに立っていた。

「じゃーね!
今日のご飯は蛙がいいな!」
「かしこまりました」
「夜、楽しみにしてるから!」
「はい。
・・・いってらっしゃいませ、サイ。
今度こそ、貴方の「中身」が見つかりますよう・・・」

tugi

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