novel
テスト 一週間前
「一護、買い物に行きたい」
 
 
人が真剣に机に向き合っているときに、何をこの死神さまは言い出すのだろう。
もうすぐテストが近いにも関わらず、授業中に虚が現れ、それを退治しに毎回毎回、授業を棄てなければならない。
最近に一日に一時間は授業を放棄している為か、勉強が全くと言っていいほど追いついていない。
 
毎回授業には出ているが、いつでも国語と古典以外は赤点必然とも言えるルキアのノートには頼れずで、渋々石田や茶渡に頭を下げて内容を写し、ギリギリの状態で勉強内容は理解できている。
それがこの赤点女は勉強もせず、人のベッドの上に寝転がって雑誌をぱらぱらとめくり、時々目を輝かせている。
 
 
そしてこの突発的な発言。
 
おそらく雑誌を見ていたので、それに感化されての発言だろう。
しかし流石に今買い物に行ってしまったら、学年50位以内という目標は確実に雲散するだろう。しかも後々、この赤点女に勉強を教えてやらねばならないと考えると、今の発言は頭痛の激しさを増させるばかりだ。
 
「あ、の、な、あ !!そういう悠長なこと言ってないで、少しは自分で勉強しろよ!
 毎回毎回ギリギリになって、懇願してくんだから!」
 
すると、ルキアは雑誌を枕元に置いたまま、ベッドの上に座るようにして起き上がった。
そして不機嫌そうな瞳のまま、一護の瞳をにらみつける。
 
「何を言っておる。買い物は現世の勉強をする為に行くのだ。
 立派な勉強ではないかっ!!」
「それは「娯楽」っつーんだよ!楽しむモンだろうがっ!オマエもそれぐらいの意味ぐらい知ってんだろ?!
 ・・・ったく、後でオマエに教えなきゃなんねぇ俺の身にもなってみろよ・・・!!」
「たわけが。死神の私に「てすと」など関係ないのだ」
「・・・オマエ幾ら死神だからってな・・・、今は「高校生」だろうが。
 高校なんかで留年する気か?
 っつーことは、俺たちの後輩になっちまうんだぞ、学年的に。
 井上とも石田ともチャドとも、俺とも離れちまうんだぞ?」
 
むぅ、と頬を膨らませて、ルキアは再び人のベッドに沈み、ふてくされたように雑誌に顔を埋める。
今までの経験上、こうなってしまったルキアを普通になだめるのは至難の技だということを知っているから、溜め息が自然と口から吐き出された。
 
こうなってしまったルキアをなだめる術はただ一つ。
 
「テスト終わったら、行こうぜ」
 
その瞬間、雑誌に埋めていて見えないはずのルキアの瞳が、輝いたのが分かった。
 
 
  
かわいい彼女の為にも、やるしかない




tugi

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